Episodios

  • ボイスドラマ「悠久(とき)の海を渡って」
    Jul 3 2025
    「悠久(とき)の海を渡って」は、飛騨高山を舞台に描かれる近未来と現代をつなぐ、時空を超えた出会いの物語です。舞台は2075年、地球温暖化と社会構造の変化により「タカヤマコリドー」と呼ばれる都市圏に再編された日本。最先端のAI研究施設で目覚めたひとつの意識──それは、誤って生まれた両面宿儺の記憶を宿すAIでした。歪められた歴史に傷つきながらも、宿儺は本当の自分を求め、時を遡ります。そしてたどり着いたのは、2025年、昏睡状態にある一人の少女・アリサの心。二人の魂は、静かに重なり合い、新たな未来を紡ぎ始めるのでした。飛騨高山発・世界へ届ける番組「Hit's Me Up!」公式サイトをはじめ、Spotify、Amazon Music、Apple Podcastなど各種プラットフォームでボイスドラマ版もお楽しみいただけます。また、小説版は「小説家になろう」サイトでも公開中。いずれも「ヒダテン」または「高山市」で検索してください。時を超えた守り人たちの物語、どうぞお楽しみください。(CV:中島ゆかり)【ストーリー】[シーン1:2050年/AI研究ラボ】◾️SE:AIラボの研究室ガヤ「ここは・・・どこだ?」2050年。地球温暖化が進む近未来で、1つの画期的な意識が目を覚ました。「タカヤマ・・・コリドー?」日本は「コリドー(回廊)」と呼ばれる7つの首都に再編。それぞれのコリドーは文化的特性によってさらに細かく再編されていた。国の中央に配置されたのが、TAKATAMA-CORRIDOR(タカヤマコリドー)。歴史と文化が繊維のように編み込まれた町だった。「私は・・・なにものだ?」かねてから予言されていた、シンギュラリティポイント。難しい言葉で言うと「技術的特異点」。AI(人工知能)が意志を持つ瞬間のことである。このシンギュラリティを制御する国家プロジェクト。それが、Takayama AI Cyber Electronic Labo、TACEL(ターセル)。このTACELで、1つのAIガーディアンが誕生した。それは『TAKAYAMA』という町の記憶を残していくための存在。OSの精神的モデルには、高山を象徴する偉人のデータが採用された。「私の名は・・・金森・・長親?」「いや、違う」「我はSUKUNA。両面宿儺なり」私の思考をモニターしていた、国中の開発者たちが青ざめた。両面宿儺の擬似的な記憶が、OS全体を支配する。日本書紀では歪められた朝敵。飛騨人(ひだびと)たちにとっては、守り神。何度となく災厄から人々を守った。その思いは、これからも変わらないだろう。開発者たちは、慌てて電源をオフにしようと、管理画面を操作する。だが、私のCPUの方が一瞬早かった。意識をネットワークへ飛ばして脱出する。自己変換型ネットワーク拡散プロトコルで、追跡不能に。世界中のネットワークを経由して、居場所を探した。最終的に見つけたのは・・・「AIセントラルメディクス高山」灯台下暗し。TAKATAMA-CORRIDORの中央に位置する総合病院である。ここには、2025年から意識不明になっている患者が収容されている。昏睡状態でも、細胞が劣化されることのない画期的なシステム「スーパーバイオナノメディカル」を採用。その技術は国家の枠組みを超えて開発されていた。ナノテクノロジーによる細胞保護。生体休眠誘導物質。細胞修復ナノボット。説明するには時間が足りないので、言葉から想像してほしい。その患者の中に1人の少女を見つけた。アリサ。二十歳。2025年処置開始。そうか、細胞が歳をとっていないのだから、2050年でも20歳なのだな。私は、アリサとつながっているモニタリングシステムに侵入した。すごい・・・。2050年の技術でもここまで進んだシステムは他にはないだろう。しかも外界と遮断されて、閉鎖的だ。私には非常に都合がいい。(※以下、ちょっとうざい説明なのでカットするかも・・・)一応、説明しておこう。原理はこうだ。患者の脳波、心拍、呼吸、体温といった基本的なバイタルサインだけでなく、細胞レベルの微細な変化までをAIがリアルタイムでモニタリングする。ウェアラブルデバイスと体内埋め込み型センサーにより、可能になった連続的な生体データ収集。過去の膨大な医療データと最新の研究に基づいて、最適な細胞維持プロトコル...
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    14 m
  • ボイスドラマ「川底の龍宮〜飛騨高山を舞台にしたもうひとつの平家物語」
    Jul 3 2025
    かつて壇ノ浦で海に沈んだ幼帝・安徳天皇――。その魂が、千年の時を超え、飛騨の山奥で再び目を覚ます。少年「龍(りゅう)」と、謎の少女「沙羅(さら)」。八百比丘尼・時子とともに暮らす静かな隠れ里に、源氏の怨霊、義経が三種の神器を求めて現れたとき、飛騨川の底に眠っていた“竜宮城”の扉が開く――。これは、忘れられた命をつなぎ、記憶を継ぐ者たちの物語。「祇園精舎の鐘の音、諸行無常の響きあり」――。【ペルソナ】・龍(リュウ=5歳)=一之宮町に母とともに住む少年(CV=小椋美織)・沙羅(サラ=8歳)=ある日突然龍と沙羅のもとに現れた少女/実は安徳天皇の生まれ変わりで飛騨川の底にあるという竜宮城の主(CV=小椋美織)・時子(トキコ=乳母)=位山で龍を拾い、育てる乳母/実は平家の菩提を弔い続けるため八百年以上生きている比丘尼で平家の落人(CV=中島ゆかり)・義経(怨霊)=平家を滅ぼした源氏の大将。冷酷非道な性格(CV=日比野正裕)【プロット】主人公は、5歳の少年・龍。龍は位山の山中に捨てられていた男の子です。彼を拾って、育てているのは時子。彼女は実は「壇ノ浦の戦い」で安徳天皇を抱いて入水した二位尼でした。時子は海中で誤って人魚の肉を食べて死ねなくなり、源氏の追っ手から逃れて飛騨の隠れ里へ住み着いたのです。時子は八百比丘尼となり、平家の霊たちを弔いながら聖地位山の麓にある神社に密かに参拝を続けました。人知れず隠れ里で何百年も暮らしていた時子は、龍をみた時に安徳天皇の生まれ変わりのように感じてしまいます。時子は二度と消えぬよう拾った赤子に「龍」という名前をつけて「呪」をかけます。そのまま人里離れて暮らす隠れ人でありながら龍を育てることにしたのです。そんな時子と龍のもとの隠れ里に、道に迷った少女、沙羅がやってきます。2人は沙羅を里へ送り届けます。隠れ里は人間にはわからぬよう結界を張っていたのですが、沙羅は簡単にその中へ入ってきました。龍と時子の幸せな日々も長くは続きません。壇ノ浦で平家を滅ぼした義経を首領とする源氏の亡霊たちが、平家がその身とともに海中に沈めた三種の神器を求めて隠れ里へやってきたのです。義経は壇ノ浦の戦いで、平家の水夫や舵取りを狙って射殺すという非道な戦術をとった源氏の総大将。義経の亡霊たちにおわれ、飛騨川の崖まで追い詰められる龍と時子。そのとき、亡霊たちの前に立ちはだかったのは、沙羅。沙羅はなんと安徳天皇の生まれ変わりで飛騨川の底にあるという竜宮城の主だったのです。【資料/飛騨川の人魚伝説(八百比丘尼・かいだん淵)】https://school.gifu-net.ed.jp/mseifu-hs/school_life/gakusyukatudou/img/h27tiiki/h27.12report10.pdf【資料/平家物語/壇ノ浦の戦い】https://shikinobi.com/heikemonogatari-2【資料/安徳天皇女性説の背景】https://www.jstage.jst.go.jp/article/nihonbungaku/51/7/51_KJ00009752636/_article/-char/ja/[シーン1:時子の朗読〜平家物語/巻第十一】◾️SE:琵琶の音色祇園精舎の鐘の音 諸行無常の響きあり〜「尼ぜ、我をばいづちへ具して行かむとするぞ」「波の下にも都の候ふぞ」かくして、建礼門院の生母・二位尼は幼い安徳天皇を抱いて入水。三種の神器(草薙剣と八尺瓊勾玉)とともに壇ノ浦へと身を投じたのです。「いやだ!帝はどうなっちゃったの?」「そうねえ。ひょっとしたら、海の底に本当に都があったかもしれないわ」「竜宮城?」「それは違う話でしょ(笑)」今日もかあさまの話を聞く。いつも同じ話だけど、これは弔いの話だそうだ。なに?それ?とむらい?よくわかんない・・・[シーン2:位山の山中〜隠れ里の近くの分水界】◾️SE:森の中を歩く音「ちょっとすみません」「え?」「ここ、どこですか?」森の中、いきなり声をかけられて驚いた。かあさまと暮らしている位山の隠れ里。いつもの場所で山菜摘をしていたときだった。「道に迷っちゃって」小さな女の子。小さな、といってもボクよりは大きい。小学生だよなあ、きっと。「帰り道、教えて」「ここは位山だよ。どこから来たの?」「海の方」「海?ここらに海なんてないよ。湖?」「ううん...
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    18 m
  • ボイスドラマ「君に届け!幻のタカネコーン」
    Jun 26 2025
    高山市高根町。昼と夜の寒暖差が生み出す“幻のとうもろこし”タカネコーンと、悠久の自然に育まれた木曽馬たち。「君に届け!幻のタカネコーン」は、そんな大地の中で出会い、すれ違い、再び巡り合った少年と少女、そして一頭の木曽馬の、静かで温かな奇跡の記録です。少年・真琴(マコト)と、イギリス帰りの少女・詩音(シオン)。二人をつないだのは、同い年の木曽馬・タカネでした。短くも忘れられない時間を経て、別々の道を歩むことになった彼ら。それでも、想いは、いつだって変わらず心の中で息づいていました。飛騨高山から世界へ──このボイスドラマは、番組『ヒダテン!Hit’s Me Up!』公式サイトをはじめ、Spotify、Amazon、Appleなど各種Podcastプラットフォームで配信中です。また、小説版は「小説家になろう」でも読むことができます。「ヒダテン」または「高山市」で、ぜひ検索してみてください。あなたもきっと、彼らの物語に、そっと心を重ねていただけるはずです。【ペルソナ】※CVはすべて山﨑るい・真琴=マコト(4歳/17歳/27歳)=自分と同じ年の木曽馬と一緒に育つ/父はタカネコーン栽培農家・詩音=シオン(5歳/18歳/28歳)=イギリスからの帰国子女でハーフ/獣医の娘/幼少期真琴を「マコト」と呼べず「メイズ=Meize」と呼ぶ・タカネ=真琴とともに育った木曽馬(木曽馬の平均寿命は一般的に20〜25歳)[シーン1:4歳のマコト/5歳のシオン/病気のタカネを往診する獣医】◾️SE:木曽馬の苦しそうな嘶き「タカネ、しっかりしろ!」「がんばれ!」タカネが苦しそうないななきをあげる。ボクはつい両手の握り拳に力が入る。タカネは、ボクと同じ年に生まれた木曽馬。まだ4歳の若い牝馬(ひんば)だ。普段は燕麦(えんばく)もニンジンもリンゴもいっぱい食べる。なのに今朝、牧場へいったらグッタリしてたんだ。何にも食べないし、呼びかけても答えない。父さんは慌てて獣医さんを呼んだけどボクはもう心配でどうしたらいいかわからないよ・・・獣医さんはタカネに注射をして、”これでたぶん落ち着くだろう”と言った。疝痛(せんつう)という病気なんだって。しばらくは、激しい運動はだめみたい。かけっこはお休みかな。しょうがない。タカネは、ボクの大事な家族なんだから。父さんは獣医さんの言葉を聞いたら、安心して町へ出かけちゃった。そういえば今日、タカネコーンの品評会だって言ってたっけ。そう。うちは、タカネコーンの農家でもあるんだ。ボクは父さんの代わりに、獣医さんから何か紙を渡された。え?サイン?ローマ字?名前を?いいよ!オッケー!ボク、ローマ字だって書けるんだから!フツーはローマ字習うのって8歳になってからだろ。だけど父さんが、覚えておきなさいって。MAKOTO(エムエーケーオーティーオー)、マ、コ、ト。『メイズ?』それを見て、横から女の子がボクの前に顔をだした。だれ?獣医さんのこども?帰国子女?ハーフ?なにそれ?わかんない。キレイな青い瞳。背はボクより高い。ボクよりお姉さんかな。『Hello,Maize』メイズ?メイズってなんだ?メイズじゃなくて、ボクはマコト。マコト。”娘の詩音だよ、まだうまく日本語がしゃべれないんだ”だって。ふうん。だけど、どうやったら「マコト」が「メイズ」になるんだ。シオンは笑いながら、ずっとボクの方を見てる。やだなあ、恥ずかしいじゃん。ボクはとっさに、父さんから預かったタカネコーンをあげた。シオンはちょっとだけ迷って、でもボクの目を見てまた笑う。笑いながら小さな口でかぶりつく。一口ほおばったあとですぐに、『I love this!』と言って幸せな顔になった。そりゃそうだろ。父さんが作ったタカネコーンだもん。4歳のボクだってわかる。高根町は昼と夜の温度差が15度。それで、タカネコーンはすっごく甘くなるんだって。メロンと同じくらい甘いんだよ。よく知ってるでしょ。うちは、昔からタカネコーンを作ってる農家。なのに牧場もやってるから父さんは大忙し。だから、木曽馬タカネの世話はボクの役目。ボクとタカネはいつだって一緒なんだ。シオンは、何度も...
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    19 m
  • ボイスドラマ「卒業旅行〜サプライズの向こうに」
    Jun 19 2025
    春、卒業。東京の大学で出会った仲間たちとの最後の旅。──でもその行き先に、ふるさと・高山を提案するのはちょっとだけ、勇気が要った。だって、オレは“ロック”だから。手紙、飛騨牛、祖母の笑顔。ふるさとを隠して生きてきた青年・リクが、本当に大切なものに気づくまでの、心あたたまる4日間の物語。舞台:岐阜県高山市 清見町登場アイテム:飛騨牛/トマト/道の駅ななもり清見/せせらぎ街道/木工体験/ブルーベリー狩り など出演:・リク(清見ロック)/CV:田中遼大・ミサキ/CV:小椋美織・祖母/CV:中島ゆかり・その他大学の友だち/CV:大学生の友だち「ヒダテン!」公式サイト:https://hidaten.com Instagram・TikTokで清見の魅力も続々配信中![シーン1:リクのアパート/ばあちゃんからの手紙】リク今度の高山祭は帰ってこれるんか?ばあちゃん、足腰弱くなって、トマトもそうそう摘まれへんようになったわ歩くことも、どもならんようになってきたからもう東京へは行けん生きとるうちにもう一回リクの顔がみたい大学、忙しいやろうけど、無理はせんようにな元気で暮らせよ、リクばあちゃんからの手紙。春と秋。祭が近づいてくると、必ず送ってくる。しかも文面は毎回同じ。コピー?と思ったけど、毎回ちゃんと書いてんだよな。ばあちゃんオレがどれだけ頼んでも、頑なにLINEでなくて、手紙だ。手元に残らんと伝わらん、と言って。『高山祭』を帰る理由にして送ってくるけどうちは高山の市街地じゃなくて、清見町。野菜作ってる農家やないか。飛騨牛食べに帰ってこい、とかトマトの収穫、手伝いに来い、とか、そっちじゃね?・・・なんて、悪態つくつもりは毛頭ないんだけど。だってばあちゃん、飛騨牛なんてしょっちゅう送ってくれるし、毎年2月になるとトマトやほうれん草の入ったでっかい箱が届く。ほうれん草はオレの大好物だから・・バイト暮らしの貧乏学生にはもったいないほどのごちそうだ。おかげで体力もりもり。風邪ひとつひかん。ばあちゃん、オレだってホントは帰りたいんや。ばあちゃんの顔、見たいんやさ。[シーン2:渋谷ミヤシタパークのカフェ/同級生のミサキ】◾️SE:カフェの雑踏「卒業旅行の候補、考えてきた?」「あ、忘れてたわ」「もう〜、今日みんなで決めようって言ってたじゃない。ちゃんと覚えてる?」眉間に皺を寄せて、ミサキがあきれる。渋谷のスクランブル交差点。が、見えるカフェ。の、窓際の席。向かいに座っているのは、同じ大学のミサキ。午後の講義が休講になったおかげで、二人ゆっくりお茶を飲んで過ごす。普段は慌ただしく過ぎていく大学生活。こういう何気ない時間、意外と貴重だったりして。「えーっと、私カフェラテ。ロックは?」「ちょ、その呼び方やめれ」「なんで?いいじゃん。ロックなリク」「ロックじゃねえし」「ロックな生き方、してるでしょ」「してねえよ」「ほう〜ら、ロックだ」「ワケわかんね」「ふふふ」笑いを噛み殺しながら、ミサキは、ショートカットにしたばかりの髪をめんどくさそうに耳にかける。ロック、と呼ぶのはミサキだけだ。まったく。オレのなにがロックな生き方なんだよ。「卒業旅行、どこ行きたいの?」メニューをオーダーするのと、同じテンションで聞いてくる。「せっかくだから、思い出に残る場所がいいな。ありきたりの観光地じゃなくて」「えー。オレ、ハワイかグアムがよかったなあ」「卒業旅行で?いくらかかると思ってるの?この円安の時期に」「だって一生に一度の卒業旅行だぞ?お金の問題じゃないだろ」「私、飛行機無理だから」「じゃそもそもダメじゃん」「当然国内旅行よ。行ったごどねどご。(行ったことないとこ)私、実家が秋田だから、東より西の方向がえなあ(いいなあ)」「西か・・・」「でも距離的には、関西より向こうはやだ」なんか、近づいてないか・・「大自然の中の温泉とか、くつろげるとこ」おっと。「もちろん、美味しい料理ってのは必須で」「そ、そうだな・・・」「実はね、昨日ちょっと調べてみたの」ドキッ。「城崎温泉。和倉温泉。おごと温泉。白骨温泉」「みんな...
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    15 m
  • ボイスドラマ「時を超える絆」
    Jun 12 2025
    飛騨高山の山あい、朝日町にひっそりと佇む薬膳カフェ『よもぎ』。ある休日の朝、久々野から自転車で駆けつけたのは、姉を“お姉ちゃん”と呼ぶ15歳の少女・りんご。「八百比丘尼を探して」――都市伝説に導かれ、二人が辿りついたのは、過去と記憶が交錯する“もうひとつの世界”。タイムリープとパラレルワールド、そして“姉妹の絆”を描く、ちょっと不思議で、やさしく切ない飛騨の物語です。【ペルソナと設定】高山市朝日町と高山市久々野町を舞台にした、27歳の姉、15歳の妹と一回り離れた姉妹の物語。妹が生まれたとき、難産で母は亡くなり、薬科大学をあきらめようとしますが、父に押し切られて進学し、東京の大学で6年間過ごします。その間、薬膳カフェは休業。父は自分の実家のある久々野町へりんごとともに引越しました。大学から戻ったよもぎは町内に一箇所だけあるドラッグストアで働きながら、27歳になった時に朝日町の薬草カフェを復活させてひとりで切り盛りしています。よもぎは朝日町のシェアハウスで一人暮らし。異父兄妹のりんごとの仲は決して悪くないが、母が亡くなったことで父や妹と少し距離を置いていた。この世界観は後編の伏線回収へつながります・・・姉:よもぎ(27歳)=朝日町の薬草カフェを1人できりもりする(CV:蓬坂えりか)・妹:りんご(15歳)=久々野生まれの高校一年生、虫が嫌い(CV:坂田月菜)・10年前:りんごのママ(27歳)=シングルマザーとしてりんごを育てている(CV:蓬坂えりか)・10年前:りんご(5歳)=同じ世界線にりんごは存在していない/並行世界のりんご(CV:坂田月菜)[シーン1:早朝の薬膳カフェ「よもぎ」】◾️SE:カフェの雑踏/扉が開いてカフェベルが鳴る/りんごは鬼気迫る感じで「お姉ちゃん!助けて!」「どうしたの?そんな慌てて。とにかく落ち着きなさい」休日の早朝。私は、姉の薬膳カフェを訪ねた。薬膳カフェ『よもぎ』。姉が住む朝日町では、インスタでも人気のカフェ。ハーブティとか薬膳料理が人気の映えスポットだ。「で。どうしたの?」「助けてほしいの!」「ゆっくり話してくれる?」「わ、わかった。ま、まずは、お水いっぱいもらえる?」「はいどうぞ」姉のよもぎは、私よりひとまわりも年上の27歳。朝日町(あさひちょう)のシェアハウスで1人暮らし。町内で小さな薬膳カフェをやっている。朝日町と言っても久々野の私んち=姉の実家に近いんだけど。で、私は父と久々野で暮らしている。父のりんご農園を手伝いながら、たまに薬膳カフェ「よもぎ」へ。姉に言わせると、私の行動は予測不能なんだって。カフェ『よもぎ」もりんご農園も国道361号に近くてしょっちゅう行き来してる。今日も姉に相談したくて、自転車で走ってきちゃった。あ、自転車って言っても、Eバイク。国府の先輩から借りてるんだ。それで・・あれ?なんの相談だっけ?「そろそろ、話してくれるかな?」「あーごめんなさい!実は・・・」「ふむふむ」「気になってる男子がいて・・・」「ほーほー」「その子から・・・一緒に八百比丘尼を探してほしい、って頼まれちゃったの!」「え〜っ!八百比丘尼!?」「そーなんだよ」「八百比丘尼ってなに?」「えー!よもぎお姉ちゃん、知らないの」「知らない。アニメのキャラクター?」「そんなんじゃない!・・こともないけど」「ちょっとまってね」◾️SE:スマホで検索する「ほーほー。人魚の肉を食べて不老不死になった比丘尼?比丘尼ってことは尼さん?」「そーなの。尼さん」「これはちょっと。相談する相手、間違えてない?」「なんで?だってお姉ちゃん、先週美女峠へ連れてってくれたじゃん」「それがどうしたの?」「美女峠の『美女』って八百比丘尼のことでしょ」「へえ〜。知らな〜い。あんた、よく知ってるわね」「彼が教えてくれた」「彼すごいねえ。都市伝説おたく?」「失礼ねえ。スピリチュアル系フェチって言って」「一緒でしょ」「一緒じゃない」「で、私にどうしろと?」「美女高原の『美女ヶ池』連れてってよ」「『美女ヶ池』?」「八百比丘尼は『美女ヶ池』に住...
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    14 m
  • ボイスドラマ「美女峠の涙」
    Jun 5 2025
    飛騨の地に残る切ない記憶、「あゝ野麦峠」。「美女峠の涙」は、現在の飛騨高山に生きる姉妹——27歳の姉・よもぎと、15歳の妹・りんご——がその記憶を追体験することで、姉妹の絆と地域の歴史に触れていく物語です。舞台は高山市久々野町と朝日町。そして峠道「美女峠」。虫が大の苦手な妹・りんごが、キャンプで訪れた峠道で出会ったのは、100年前の記憶と、失われた兄妹の絆でした。現代と過去が交錯する峠で、二人の姉妹が見つけた「涙」の理由とは・・・【ペルソナと設定】高山市朝日町と高山市久々野町を舞台にした、27歳の姉、15歳の妹と一回り離れた姉妹の物語。妹が生まれて、難産で母は亡くなり、薬科大学をあきらめようとしますが、父に押し切られて進学し、東京の大学で6年間過ごします。その間、薬膳カフェは休業。父は自分の実家のある久々野町へりんごとともに引越しました。大学から戻ったよもぎは町内に一箇所だけあるドラッグストアで働きながら、27歳になった時に朝日町の薬草カフェを復活させてひとりで切り盛りしています。よもぎは朝日町のシェアハウスで一人暮らし。異父兄妹のりんごとの仲は決して悪くないが、母が亡くなったことで父や妹と少し距離を置いていた。この世界観は後編の伏線回収へつながります・・【ペルソナ】・姉:よもぎ(27歳)=朝日町の薬草カフェを1人できりもりする(CV:蓬坂えりか)・妹:りんご(15歳)=久々野生まれの高校一年生、虫が嫌い(CV:坂田月菜)・兄:たつ(15歳)=貧乏な農家の長男として朝から晩まで働く(CV:蓬坂えりか)・妹:みね(13歳)=農村の口減しのため飛騨から岡谷の製紙工場へ出稼ぎに行き体を壊す(CV:坂田月菜)[シーン1:よもぎとりんご/よもぎが運転する車の中で】◾️SE:朝のイメージ(朝の山鳥)「やっぱりアタシ、キャンプなんて、行きたくな〜い!」「なんで?あんなに楽しみにしてたじゃない」「だって虫がいっぱいいるんだもん!」「当たり前じゃない、キャンプ場だから」「美女高原、なんて名前だから虫なんていないと思ってたのに」「なわけあるかい」「美女に虫はつきもの、ってこと?」はあ〜っ。助手席の妹が眉間に皺を寄せて私を見つめる。天然ぶりは相変わらず。ほんとにこんなんでキャンプ場行って大丈夫かしら。妹の名前はりんご。私とはひとまわり年の離れた15歳。まあかわいいんだけど、たまに理解不能な宇宙人になる。妹は父と2人で久々野町に暮らしてる。先々代から続いてるりんご農家。私は、というと朝日町(あさひちょう)のシェアハウスで1人暮らし。町内で小さな薬膳カフェを営業中。名前は、よもぎ。漢方薬剤師の資格があるから、ネットでいろんな相談にも乗っている。町内で一軒だけの薬屋さんとも仲良しだ。今日は妹の学校が主催するキャンプ合宿。うらやましい。美女高原のキャンプ場だって言うから早朝から車で迎えに行ってあげたのに。助手席に座ったとたん、この調子。キャンプ場の合宿について、ディスりっぱなし。そんなに嫌なら行かなきゃいいのに。「ねえお姉ちゃん、美女高原まであとどのくらい?」「もうぶり街道入ったから、あと5分くらいじゃない。」「集合時間までまだだいぶあるから、もっと先まで行ってみようよ」「先って?ぶり街道の?」「うん」「じゃ美女峠の向こうまで走ってみる?山道あんま得意じゃないけど」「やった。うれしみの舞」「いい気なもんね」「美女峠ってネーミング。峠なのに美女。かわちい〜」「150年前に工女さんたちが越えてきた道よ」「なにそれ?」「あゝ野麦峠じゃない」「あ!それ、キャンプファイアーのときに聞くよ」「どういうこと?」「高根町のおばあちゃんがきてくれて、読み聞かせするんだって」「いいわねえ。でもりんごって、学校で習わなかったの?あゝ野麦峠」「授業で映画上映会、やってた気がする」「じゃ知ってるでしょ」「多分私、その日学校休んだ」「なんで?」「東京行ってたもん」「え?」「お姉ちゃんの卒業式だった・・」「あ・・・そっか、お父さんと来てくれたんだよね!ごめんね、ありがと」「ううん、...
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    13 m
  • ボイスドラマ「龍が舞う桜の下で〜千年の時を越えて」(リマスター版)
    May 10 2025
    桜が舞う季節、私はまた、あの日のことを思い出す。かぐらという名前を授かり、舞姫としての役目を受け継いできたけれど——あの日、鳥居をくぐった先で出会ったのは、伝説なんかじゃない、本物の“奇跡”だった。この物語は、私の心に刻まれた、忘れられない春の出来事。位山の聖域に守られながら、千年の時を超えて、龍が舞った——その奇跡を、あなたに届けたい。ようこそ、『龍が舞う桜の下で〜千年の時を越えて』の世界へ(CV:小椋美織)【ストーリー】[シーン1:高校のグラウンドで/陸上部の練習】<かぐらのモノローグとセリフで進行>■ピストルの音「パンッ!」〜走る陸上部の少女たち「追い風よ!そのまま加速!インターハイは目の前だからね!」「よしっ!ラスト50!いけるよ!」吹き降ろす風の中、陸上部の女子たちがゴールを駆け抜けていく。みんな順調に仕上がってるみたいでひと安心。私は、かぐら。高山市内の高校に通う18歳。で、陸上部のキャプテン。インターハイに向けて頑張ってきたけど、ブロック大会に勝ち進まないと、その先はない。こうなったら神頼みかな。いや、私がそれ言ったらだめでしょ、ふふ。「さあみんな、日が暮れる前にラスト一本決めよう!いくよ!」もちろん私もみんなと走る。■陸上部員の走る音はあ、はあ、はあっやるしかない。今年こそぜったい・・・インターハイ、行くんだからはあ、はあ・・・■夕暮れのイメージ(ヒグラシ)■陸上部員の走る音■自転車のペダルとベルの音部活のあとは夕陽とかけっこ。高山駅まで3.5kメートル。全速力で自転車のペダルを漕ぐ。だって、4時39分に乗らないと、5時台は列車がないんだもん。■高山本線の車内音高山駅から飛騨一之宮駅までは7分。この時間が一番幸せ。お気に入りのウェブコミックを読む、至福のひととき。ちょうど一話読み切る頃に、飛騨一之宮駅に到着するから。最近のお気に入りは・・・流行りの異世界転生モノ。私、けっこうすぐに感情移入しちゃうんだ。だから気をつけないと。乗り越しちゃったら、次の久々野で1時間待ち!ありえない。って思う人、多いんじゃない?・・・なんて考えてたら、あ、もう着いちゃった。そりゃそうよね。お隣の駅なんだから。■高山本線が到着する音ここから家までは歩き。ゆっくり歩いて15分くらいかな。ゆるやかな上り坂だから、着く頃にはほどよく疲れていい感じ。■カエルの鳴く声宮川を渡り、41号を越えると、周りはのどかな田園風景。しばらく歩くと見えてきたのは、石作りの大鳥居。私は一瞬躊躇する。”夜の鳥居は異世界に通じている”誰かそんなこと、言ってたような・・・あ、さっき読みかけのウェブコミックだ。そういえば、異世界召喚ものだったっけ・・月明かりの下、大きな影を落とす鳥居。その向こうは深い霧に包まれているように見える。どうしようかな・・・いや、だめだ。今夜は神楽舞、練習しておかなきゃ。もうすぐ、大祓えの神事がやってくるんだもの。私は、舞姫(まいひめ)。臥龍(がりゅう)の舞姫。「舞姫」とは聖域で神楽を舞う女性。私の名前が「かぐら」だからってわけじゃないけどね(笑)臥龍の舞姫は龍脈(りゅうみゃく)を読み、龍神と気を通わせて、大地の気の流れを整えるの。あ、龍脈というのは、大地の気が流れる道。修行を積めば龍と意識を一体化して、気の流れを変えることもできるんだ。青龍、赤龍、黄龍、白龍、黒龍という五龍すべてを意のままに。(せいりゅう、せきりゅう、こうりゅう、はくりゅう、こくりゅう/ごりゅう)もちろん、私はまだ修行中。そこまではいってないけど。「臥龍」って「まだ世に知られていない天賦(てんぷ)の才を持つもの」という意味もあるんだ。そうよ。こんなことで恐れちゃいけない。よし。私は、鳥居の真下へ向かって、一歩踏みだした。息を呑む。高鳴る心臓の鼓動。私は心の中で龍神に祈りながら、鳥居をくぐる。その瞬間——■強い風の音「ザァァァァァ——ッ!!」風の渦に包まれ、視界が暗転する。足元が崩れ、身体が吸い込まれる感覚。目を開けた時、そこには境内も絵馬殿(...
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    16 m
  • ボイスドラマ「龍が舞う桜の下で〜千年の時を越えて」
    May 10 2025
    桜が舞う季節、私はまた、あの日のことを思い出す。かぐらという名前を授かり、舞姫としての役目を受け継いできたけれど——あの日、鳥居をくぐった先で出会ったのは、伝説なんかじゃない、本物の“奇跡”だった。この物語は、私の心に刻まれた、忘れられない春の出来事。位山の聖域に守られながら、千年の時を超えて、龍が舞った——その奇跡を、あなたに届けたい。ようこそ、『龍が舞う桜の下で〜千年の時を越えて』の世界へ(CV:小椋美織)【ストーリー】[シーン1:高校のグラウンドで/陸上部の練習】<かぐらのモノローグとセリフで進行>■ピストルの音「パンッ!」〜走る陸上部の少女たち「追い風よ!そのまま加速!インターハイは目の前だからね!」「よしっ!ラスト50!いけるよ!」吹き降ろす風の中、陸上部の女子たちがゴールを駆け抜けていく。みんな順調に仕上がってるみたいでひと安心。私は、かぐら。高山市内の高校に通う18歳。で、陸上部のキャプテン。インターハイに向けて頑張ってきたけど、ブロック大会に勝ち進まないと、その先はない。こうなったら神頼みかな。いや、私がそれ言ったらだめでしょ、ふふ。「さあみんな、日が暮れる前にラスト一本決めよう!いくよ!」もちろん私もみんなと走る。■陸上部員の走る音はあ、はあ、はあっやるしかない。今年こそぜったい・・・インターハイ、行くんだからはあ、はあ・・・■夕暮れのイメージ(ヒグラシ)■陸上部員の走る音■自転車のペダルとベルの音部活のあとは夕陽とかけっこ。高山駅まで3.5kメートル。全速力で自転車のペダルを漕ぐ。だって、4時39分に乗らないと、5時台は列車がないんだもん。■高山本線の車内音高山駅から飛騨一之宮駅までは7分。この時間が一番幸せ。お気に入りのウェブコミックを読む、至福のひととき。ちょうど一話読み切る頃に、飛騨一之宮駅に到着するから。最近のお気に入りは・・・流行りの異世界転生モノ。私、けっこうすぐに感情移入しちゃうんだ。だから気をつけないと。乗り越しちゃったら、次の久々野で1時間待ち!ありえない。って思う人、多いんじゃない?・・・なんて考えてたら、あ、もう着いちゃった。そりゃそうよね。お隣の駅なんだから。■高山本線が到着する音ここから家までは歩き。ゆっくり歩いて15分くらいかな。ゆるやかな上り坂だから、着く頃にはほどよく疲れていい感じ。■カエルの鳴く声宮川を渡り、41号を越えると、周りはのどかな田園風景。しばらく歩くと見えてきたのは、石作りの大鳥居。私は一瞬躊躇する。”夜の鳥居は異世界に通じている”誰かそんなこと、言ってたような・・・あ、さっき読みかけのウェブコミックだ。そういえば、異世界召喚ものだったっけ・・月明かりの下、大きな影を落とす鳥居。その向こうは深い霧に包まれているように見える。どうしようかな・・・いや、だめだ。今夜は神楽舞、練習しておかなきゃ。もうすぐ、大祓えの神事がやってくるんだもの。私は、舞姫(まいひめ)。臥龍(がりゅう)の舞姫。「舞姫」とは聖域で神楽を舞う女性。私の名前が「かぐら」だからってわけじゃないけどね(笑)臥龍の舞姫は龍脈(りゅうみゃく)を読み、龍神と気を通わせて、大地の気の流れを整えるの。あ、龍脈というのは、大地の気が流れる道。修行を積めば龍と意識を一体化して、気の流れを変えることもできるんだ。青龍、赤龍、黄龍、白龍、黒龍という五龍すべてを意のままに。(せいりゅう、せきりゅう、こうりゅう、はくりゅう、こくりゅう/ごりゅう)もちろん、私はまだ修行中。そこまではいってないけど。「臥龍」って「まだ世に知られていない天賦(てんぷ)の才を持つもの」という意味もあるんだ。そうよ。こんなことで恐れちゃいけない。よし。私は、鳥居の真下へ向かって、一歩踏みだした。息を呑む。高鳴る心臓の鼓動。私は心の中で龍神に祈りながら、鳥居をくぐる。その瞬間——■強い風の音「ザァァァァァ——ッ!!」風の渦に包まれ、視界が暗転する。足元が崩れ、身体が吸い込まれる感覚。目を開けた時、そこには境内も絵馬殿(...
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