• ボイスドラマ「高山ウォーズ」

  • Feb 8 2025
  • Length: 15 mins
  • Podcast

ボイスドラマ「高山ウォーズ」

  • Summary

  • (CV:桑木栄美里)「ご乗車ありがとうございました。まもなく高山、高山です」テンションあがるなあ。3年ぶりの高山は。っていうか、3年ぶりの帰省か・・・ママの顔見るのも大学の卒業式以来。昨日いきなり帰るって電話したときは、なんか、急に ママ黙っちゃったけど。ウルっとしたのかなあ、それとも私が帰るとまずいことでも・・・いやいやいや、それはない。にしても、HC85系の特急ひだは静かだなあ、揺れないし。3年離れているうちに、世の中って変わるもんだわ。あ、私の名前はエミリ。職業は国家公務員。ママはフツーの国家公務員だと思っている。でも、私が所属するのは、内閣サイバーセキュリティセンター=NISC。以前ニュースにもなったからみんな知ってるでしょ。知らない?で、私の仕事はホワイトハッカー。国家機密や企業のコンピュータに不正侵入するブラックハッカーと日夜戦っている。みんな知らないけど、そもそもハッカーという言葉には悪意なんてないんだよ。本来の意味はコンピューターやインターネットについて高度な知識と技術を持っている人。悪いハッカーはクラッカー=ブラックハッカーと呼ばれるんだ。エミリったら、3年ぶりに電話くれたと思ったら、明日帰る、ですって。まったく。まあ、今年もあと3日だからいいんだけど。それにしてもまた、タイミングの悪いときに・・・私への脅迫メールが届いたのはクリスマスイブ。送信元は、外国人のテロリスト集団。結婚前に戸籍も変えて、高山でひっそりと暮らしていたのにどうして気づかれたのかしら?おっと、自己紹介が遅れたわね。私はエミリの母です。年齢?・・・ちょっと、それ失礼でしょ。ノーコメント。職業は社会福祉士。高山の社会福祉協議会で働いています。私、結婚前に中東で仕事していたことがあって・・・まあ、はっきり言うと傭兵なんだけど。いろんな国の兵士として、いろんな国の戦場で戦ったわ。たぶんみなさんよく知っている、あの国や、この国へも。女性の傭兵としては、かなり危ない橋も渡ってきたと思う。成果はいっぱいあげたけど名前は知られたくないから、”イリメ”というコードネームで戦ってきた。だけど、お腹に子どもができてから、完璧に足を洗った。東京を脱出してひっそりと高山で居(きょ)を構えた。私に子どもが産まれたことは、私を雇った国や組織も知らないはず。私が高山に住んでいることも。もちろん周りの人間はだれも、私の裏の顔を知らない。なのに、どうして今さら?いや、いまの世界情勢を考えるとわからないでもないか。彼らの目的は明確だ。テロというのは当事者よりも、傭兵のような外部に実行させた方がよい。あとからなんとでも言えるからな。メールには、「仕事のオファーだ。断る選択肢はない」と書かれていた。外資系企業のドメインだったけど、そんなの私にわからないはずがないでしょ。知る人ぞ知るテロリスト集団のダミー会社だ。私1人ならなんとでも対処できたけど、まさかこのタイミングでエミリが帰省するなんて。「ちょっとママ、どうしたの?タクシーなんてもったいない。私、久しぶりだから高山の街、歩きたかったのに」ママは私の質問に答えずに、運転手さんと何やら話している。”最近きつねを見かけたか”とか”古い町並に迷路ができた”とか。うーん。なんか引っかかる。いつもならすぐにパソコン開いてハッキングのチェックとかするんだけど。実は私、急に帰ってきたのは、ちょっとだけ仕事に疲れちゃったんだよねー。毎日暗号やらウィルスやらとにらめっこで、ストレス満載なんだもん。高山帰ったときくらい、ゆっくりぼ〜っとしたいわ。タクシーが家に着いたとき、母は運転手になにかを渡していた。”チップ”だと言ってたけど、紙のチップってなによ。玄関の真ん前に横付けしたタクシーから玄関へ。母の死角になって、町並もなんも見えなかったじゃん。私が家に入ると、母はタクシーに忘れ物をしたと行って外へ。おいおいおい。あわただしいなあ。■SE/タクシーのドアを閉める音駅前からタクシーに乗る。エミリはもったいない、と言...
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