Episodios

  • 日本のAI普及からの教訓
    Jun 13 2025
    弊社の日本経済エコノミストで、シニア・アドバイザーのロバート・フェルドマンが、AIに対する日本の体系的アプローチと他国への教訓について解説します。トランスクリプト 「市場の風を読む」にようこそ。モルガン・スタンレーMUFG証券のシニアアドバイザー、ロバート・フェルドマンです。今日は、日本の、グローバルAI開発への重要な貢献についてお話しします。今日は東京時間で6月13日金曜日の午後2時です。日本は常に先進的な技術インフラとロボティクスの世界の的リーダーであり続けてきました。したがって、日本のデバイスと素材がグローバルAIサプライチェーンにおいて重要な役割を果たしていることは驚くべきことではありません。しかし、投資家にとって重要なのは、日本の独自の体系的なAIアプローチと、それが他国に提供する教訓を理解することであると思いますす。 日本では、AIは歴史的にハードウェア、ソフトウェア、データ、倫理の4つの要素の共生的な相互作用を通じて発展してきました。日本の技術の進歩は、進化するだけでなく、共進化します。つまり、ある要素の進歩が他の要素の進歩をより緊急にします。これらの後者の進歩が起こると、他の要素にボトルネックが生じます。しかし、自然界の共進化とは異なり、偶然の突然変異が互いに強化し合うのではなく、AIの共進化は人間の意図によって駆動されます。つまり、人間はボトルネックを見つけ、それをイノベーションで解決します。開発のボトルネックは、このモデルにとって重要です。各ボトルネックを特定することで、企業や産業がイノベーションを起こすことができるんですます。投資家もこれらのボトルネックに特に注意を払うべきです。なぜなら、そこに投資の機会があるからです。 例えば、最近のイベントですけれども、中規模の日本の小売食品製造会社の社長に聞きました。、彼の会社にとって最大のAIボトルネックは何ですかかと聞いたんです尋ねました。彼は明確に「データ」と答えました。彼の会社にはもちろんいくつかのデータがあります。、競合他社も同様です。しかし、データを記録し、共通のデータベースに情報を提供し、匿名性を維持する共通のプラットフォーム及び共通するプロトコルはありません。したがって、データに関するボトルネックは、この会社が他の3つの重要な要素の、ハードウェア、ソフトウェア、倫理を活用するために革新的なデータソリューションを必要とすることを示唆しているんですます。 最後の要素である倫理ですけれどもに関しては、日本のAI倫理は的の取り組みがは柔軟なんです。個人情報保護法やその後の法改正など、国の法的枠組みは、AIのが安全で倫理的な範囲内で進歩することはを保証されていますします。これらの法律およびルールは単なる紙の上のものではありません。無許可のAI使用に対してデータプライバシーを守る画期的な裁判所の判決がに見られるように、積極的に施行されています。しかし、柔軟性もあります。LLMの柔軟な開発を可能にするために、ルール、が調整されています。 もう一つの日本の倫理の特徴は、AIリテラシーに対する積極的な強調です。大企業から中小企業まで、AI技術だけでなくその倫理的な応用についても人材を訓練するための協調的な努力が行われております。、AI能力の全体的な進歩を確保しすることがその結果ですています。この労働者の訓練へのアプローチは単なる利他主義ではありません。日本は深刻な労働力不足に直面しています。AIはその解決策の重要な部分と広く見なされておりいます。良い倫理はAIの普及を速めます。 最終的に、グローバルなマクロ経済レベルでは、AIから利益を得る企業や国は次の3つのことを行う必要があります。 (1) 技術のを迅速に導入すること、(2) AIを使用した新製品のやプロセスを迅速にイノベーション 革新することです。、(3) 新しい革新的な製品を生産するために労働力を再訓練し、資本のを再配分ですすること。このマクロ的な環境を背景に、日本のハードウェア、ソフトウェア、データ、倫理の共生を意図的に利用することは...
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  • 株式市場の上振れがあり得る理由
    Jun 2 2025
    弊社の最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンが、企業の業績やバリュエーションに関する見通しを踏まえ、今後12ヵ月の米国株に前向きな見方をする理由について解説します。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソン本日は最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンが、弊社が発行したミッド・イヤー・アウトルックに対するプッシュバックと、今後12ヵ月の米国株に総じて前向きな見方を維持する理由についてお話します。このエピソードは6月2日 にニューヨークにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。弊社の見通しを簡単に要約しますと、株式市場はニュースフローと価格変動の両方の点で非常にボラティリティーの高い年初からの5ヵ月間でしたが、今年末のS&P500の目標水準は6,500に維持しています。予想を変えなかったのは、米国株にとって上期は厳しいものの、下期はより好ましい状況に転じると考えていたことが一因です。新政権は政策アジェンダのうち、まず経済成長にネガティブな部分を推し進めるとみていたからです。予想通り、新政権は移民政策の実施、歳出削減、関税に重点を置きました。これらの政策変更に加え、去年 昨年急増したAI関連の設備投資が上期に減速するとも予想していました。これらの全ての要因が重なり、経済成長と業績修正の重荷となりました。次に、「解放の日」と銘打っての関税発表は、弊社も含めほとんどの市場参加者にショックを与え、多くの機関投資家が投げ売りとしか言いようがない大量売却に動くのに申し分のない材料となりました。このパニック売りによって、政策、業績修正、金融状況、ドル安という追い風も相まって株価が自律反発する素地が整いました。弊社予想の最大のポイントは、今年と来年の成長率をいずれも1桁台後半とする前向きな業績見通しと、バリュエーションが弊社予想利益の21.5倍の水準に高止まりするとの見方です。利益については、暦年の弊社予想はすでにコンセンサス予想よりも0.5%前後引き下げています。2つ目としては、今後12ヵ月間の1株利益の伸び率を予想する弊社の先行利益指標(Leading Earnings Indicator)は、伸び率が今後1年にわたり1桁台後半のレンジで横ばいとなることを示唆しています。3つ目ですが、ドル安、税制法案の各要素、AI主導の生産性が、弊社のモデルに盛り込まれていないさらなる収益の追い風になるでしょう。4つ目としては、過去3年間にわたり民間経済の多くのセクターでローリング・リセッションが起きているため、成長の比較が容易になっています。最後に、これが最も重要な点ですが、1年間低下して非常に低い水準となっていた業績修正率が上向いていることです。バリュエーションに関しては、増益率が長期的な中央値の7%を上回り、しかもフェデラルファンド金利が1年前よりも低ければ、マルチプルの圧縮は非常にまれであることが弊社の調査で明らかになっています。実際、こうした条件の下で株価収益率のマルチプルは全期間のうち90%で拡大し、12ヵ月ベースで9%前後となっています。従って、S&P 500の株価収益率が今後1年間にわたり現在の水準と変わらずに推移するとみる弊社の予想はある意味、保守的です。弊社が選好するバリュエーション手法である株式リスクプレミアムについてですが、興味深いことに、「解放の日」からの1週間で株式リスクプレミアムは、2001年の9-11ショックの直後に目の当たりにしたのと同じ水準に達し、1998年のLong-Term Capital Management危機の間に到達したリスクプレミアムを超えました。9-11(ナインイレブン)ショックの時もLTCM危機の時もS&P 500は今年のように20%下落しましたが、その後1年間の株式市場は非常に好調でした。要するに、今年と来年でいずれも1...
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  • なぜ金利が再び問題なのか
    May 30 2025
    コーポレート・クレジット・リサーチ責任者のアンドリュー・シーツが、米国の関税を巡る法的混乱と議会で審議中の予算法案により、なぜ投資家が再び金利に注目することになるかについて解説します。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。コーポレート・クレジット・リサーチ責任者のアンドリュー・シーツ本日はコーポレート・クレジット・リサーチ責任者のアンドリュー・シーツが、1月に市場で取りざたされ、今再び話題となっているテーマを再度取り上げます。金利上昇はどれほど問題なのでしょうか?このエピソードは5月30日 にロンドンにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。それほど深刻ではなかったとしても、少し奇妙かもしれません。今年、米国政府が関税措置を導入すると、市場はすぐに下落しました。そして、これらの関税の多くが一時停止されたり取り下げられたりすると、市場はすぐに上昇しました。では、次はどうなるのでしょうか?多くの関税は形の上で一時停止されているだけなので、再開される予定です。全体的な関税率は、中国に対する関税率がこのほど引き下げられたとはいえ、依然として歴史的に高い水準です。最近の出来事の影響を実際に反映するような経済データはまだ全く発表されていません。つまり、米国経済成長の当面の道筋については、まだ大きな不確実性があるということです。しかし、お聴きいただいている皆さんは関税にうんざりしていらっしゃると思いますが、少しの間、関税は今や二の次であるというふりをしてみましょう。もしそうなら、金利が再び注目されることになります。第一に、他の全ての条件が同じなら、関税率が下がると経済成長が加速し、それに伴い金利が上昇するでしょう。しかし、同時に重要なのは、米国の議会で協議されている現在の予算案は政府の借り入れを大幅に増やすものであり、金利を押し上げる可能性もあるということです。現在の予算案が恒久的なものになるとすれば、何が起きるでしょうか。例えば、国家債務が今後30年間で15兆ドル増える可能性があります。これは、イエール大学の分析によって予想されていた水準を上回る金額です。関税が課される前、つまり1月に市場の関心を一手に集めていたのは金利と政府の借り入れの問題だったことを思い出してください。そして現時点で市場が最も注視しているのは、この30年間で債務がどれほど増えるかという問題です。米国債の30年物利回りは1月14日に一時5%をつけましたが、最近またこの水準まで上昇しました。これは米国の超長期債利回りとしては過去20年間でも特に高い水準です。利回りが上昇すれば、最終的に米国政府が負わなければならないコストも上昇しますが、こうした高い利回りは、他の全ての投資商品の比較基準にもなります。安全な米国債に投資して長期にわたり年間5%のリターンを得られるとすれば、株式からオフィスビルに至るまで、米国債よりもリスクの高い商品に長期投資する際に投資家が求めるリターンにどう影響するでしょうか。ここで幾つかの数字を挙げるのも参考になると思います。今日5%で1万ドル投資すると、30年後にはおよそ4万3,000ドルになるでしょう。従って、これは全ての長期投資をいま判断する際のハードル・レートとなります。もちろん、他にも多くの要因がこうした他の資産のパフォーマンスに影響を与える可能性があります。公平を期して言えば、米国株の長期投資のリターンはこれまで5%を優に超えています。しかし、この先の勝ち組の一つは中長期の投資適格債券でしょう。高い利回りゆえにこれらの債券には高い需要が生まれるとみています。同時に、こうした高い利回りは企業の長期借り入れコストが上昇することを意味するため、供給が減る可能性もあるでしょう。最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場...
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  • 関税シグナルをどう解読するか
    May 28 2025
    グローバル債券・公共政策戦略担当責任者のマイケル・ゼザスが、モルガン・スタンレーのジャパン・インベスター・サミットでお客様から最も多く寄せられた米国の政策に関する質問にお答えします。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。グローバル債券および公共政策戦略担当責任者のマイケル・ゼザス 本日はグローバル債券および公共政策戦略担当責任者のマイケル・ゼザスが、モルガン・スタンレーのジャパン・インベスター・サミットから得られた主な要点について解説します。このエピソードは5月28日 にニューヨークにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。先週、私は東京で開催されたジャパン・インベスター・サミットに出席しました。主な投資テーマに関するパネルディスカッションや、モルガン・スタンレーのあらゆる拠点のお客様との一対一ミーティングが二日間にわたって行われました。サミットの間にモルガン・スタンレー・リサーチは経済および市場戦略の年央見通しを公表しました。言うまでもありませんが、この48時間で投資戦略を巡って活発な意見交換が行われました。どのような質問が最も多く寄せられたかをお伝えし、そしてもちろん、これらの質問への答えについてもお話ししたいと思います。もうお分かりだと思いますが、米国の関税政策が主な注目点でした。関税は再び引き上げられるのでしょうか?それとも最悪の時期は過ぎたのでしょうか。もし過ぎたのであれば、投資家は米国経済についての懸念をいったん忘れてもよいのでしょうか?これは込み入った問題なので、われわれの答えには微妙なニュアンスが入ります。一方、現在の関税政策は、われわれが考えていた年末時点の状況とほぼ一致しています。関税率の引き上げが予想よりもずっと早い時期に行われただけです。米国の関税が全面的に引き上げられ、中でも中国に対する関税率が相対的に高くなっています。他の国々と比べて中国とは妥協点が少ないため、中国との貿易交渉で迅速に合意を形成するのはより困難です。つまり、現状が終点ということかもしれません。しかし、投資家にとってこのような考え方は単純すぎるでしょう。第一に、現在行われている交渉の一環として関税率が今の水準からさらに引き上げられる可能性は十分あります。また、それがたとえ一時的だったとしても、市場に影響が及ぶでしょう。第二に、恐らくもっと重要なポイントとして、米国政府がこのほど中国に対する関税率を非常に高い水準から引き下げ、実効関税率は下がったとはいえ、依然として年初の水準を大幅に上回っています。このため、投資家は市場の見通しを立てる上で関税の圧力を考慮しなければならないでしょう。弊社のエコノミストは関税の影響で今年は経済成長が鈍化し、リセッションリスクが上昇するとみています。もう一つの主な懸念材料は米国の財政政策です。選挙公約通りに赤字縮小への道を歩み始めるのでしょうか、それとも税制・歳出法案が議会を通過し、赤字縮小は実現しないのでしょうか。投資家にとってこれは来年の最も重要な注目点であると思います。来年以降どうなるかは憶測の域を出ないからです。われわれは来年度に財政赤字が減少するとは予想していません。減税期限を延長し、新たな減税措置をいくつか導入すれば、歳出削減で一部相殺されたとしても、来年に赤字は多少拡大するでしょう。また、利払いの増加など、予算に織り込まれたその他の要因によって赤字はいっそう膨らむとみています。これらの2つの質問が寄せられたのは無理もありません。その答えが市場の見通しに極めて重要だと思うからです。特に、われわれが市場見通しの中で強調した見解を理解する手がかりとなります。例えば、米国の経済成長が他国よりも減速し、それに伴い外国人投資家が自国通貨建て資産の比率を増...
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  • Midyear U.S. Outlook:株式市場は一歩先を行く?
    May 23 2025
    米国の政策変更が落ち着き、世界貿易の緊張が緩和しており、弊社最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンは25年下期見通しをより強気に変更しました。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソン今回は関税と金利の最近の動向と、それが弊社の今後12カ月の米国株式見通しに及ぼす影響について、最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンが解説します。このエピソードは5月23日 にニューヨークにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。 中国に対する追加関税が145%から30%に引き下げられた結果、株式市場は先週も上昇が続き、企業マインドや消費者心理にもプラスに働くと思われます。さらに重要なこととして、弊社は重大な局面で90日間の関税停止が発表されたと見ています。実質的な禁輸措置があと数週間続いていたら、景気後退に陥る確率が高まったでしょう。 貿易政策の不透明感が薄れ、株式市場の変動もかなり落ち着きました。実のところ、この2つを測る指標は中国との交渉が成立するかなり前にピークに達し、現在は「解放の日」以前の水準に戻っています。つまり、私の見立てでは、貿易の逆風は変化率で見ればすでにピークを過ぎており、再びピーク水準まで戻る可能性は低いと思われます。これは4月上旬のパニック売りでS&P 500銘柄が平均30%値下がりしたこととも合致します。つまり、遅行指標であるハードデータはおそらく来月にかけて悪化しますが、株式市場は4月にすでにこれを織り込んでいました。景気が後退するとしても、4月につけた底値を割り込むことはなく、信用市場と資金調達市場のリスクが管理可能な緩やかな景気後退になると弊社は考えています。さらに株価の支えとして、企業利益のリビジョン・インデックスが底入れしたと見られます。この指標は業績予想の方向性を測る先行指標的な性質があり、企業マインドを計測する指標として重要だと弊社は考えています。リビジョン・インデックスが上向き、さらに先週の中国との関税交渉も重なった結果、S&P 500は「解放の日」以前の弊社の上期予想レンジである5500-6100にしっかりと戻っています。ただ、10年債利回りが依然として高い水準にあることから、S&P 500が目先6100を上回るためにはリビジョン・インデックスがさらに上昇してプラス圏となる必要があると考えます。このような状況の中、弊社は今週Mid-Year Outlook(ミッドイヤーアウトルック)を発表し、その中で弊社基本ケース、弱気ケース、強気ケースそれぞれのS&P 500予想を見直しました。一言で言えば、当初は年末に6500と予想していたところを今から12カ月後に実質的に後ろ倒ししました。その主な理由は、FRBの姿勢が予想したほどハト派的でなく、そのため10年国債利回りが弊社エコノミストと金利ストラテジストの昨年末時点の予想よりも高いためです。また、関税率が少なくとも当面は予想よりも高いことから、EPS予想を小幅に引き下げました。この先の見通しについて、弊社は現在、昨年末時点よりも強気になっています。成長を阻害する政策の発表はすでに終わり、FRBの次の動きは複数回の利下げと見られるためです。端的に言えば、リビジョン・インデックスの変化率、金利、現政権の政策変更のすべてが今はプラス方向に向いています。半年前はこの真逆だったために、今年上期に対して強気ではありませんでした。米国株式の目先のリスクは、非常に買われ過ぎの状況と金利です。インフレ懸念が続いているためFRBは様子見を続けており、先週金曜日にはMoody’sが米国債を格下げしたこともあり、10年物利回りは4.5%を超える水準に戻っています。4.5%は株式と金利が負の相関に戻りがちな水準です。最終的には、財務省とFRBはこのリスクをコントロールする...
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  • Japan Summit 2025: 消費者の回復力と貿易の不確実性
    May 21 2025
    モルガン・スタンレー・ジャパン・サミットから生放送で、弊社エコノミストが、変化する日米・日中貿易パートナーシップを踏まえ、日本経済と日本株の見通しについてお話します。トランスクリプト 中澤:「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。モルガン・スタンレーMUFG証券の日本株ストラテジスト、中澤 翔と申します。李:モルガン・スタンレーMUFG証券のプリンシパルグローバル・エコノミスト、李 智雄です。中澤:本日は東京で開催されているモルガン・スタンレー・ジャパン・サミットから生放送でお届けします。世界の経済成長という観点から日本についてのわれわれの見解をお伝えします。また、二大貿易相手国である米国と中国に対する日本のポジションについても考察します。このエピソードは、5月20日 火曜日午後3時に東京にて収録されたものです。中澤:李さん、私たち2人はこのサミットで大勢の投資家と話をしてきました。対話を通じて、いま最も印象に残っている議題は何ですか?李: そうですね。やはりトランプ政権の政策に関するご質問が最も多い印象です。相互関税率が当初発表された内容よりは緩和されたものの、依然として高い関税率であることは間違いないわけで、それが米国経済、そして日本を含めた世界経済に与える影響に関してのご質問が多かったです。もちろん、日本経済に関しましてては外需が重要ですが、一方で内需の堅調さに関してご指摘すると同意してくださるお客様も多かった印象です。李:中澤さんの会われたお客様からどのような話が聞かれましたでしょうか?中澤:投資家からは、米国の関税政策の不確実性を踏まえたポジショニングの考え方であったり、日本特有のカタリストでありますガバナンス改革を巡る投資戦略についての照会が多い印象です。特に足もとでは、親子上場の解消に対する関心が高まる中で、次の親子上場解消の候補は誰だろうか、という点に高い関心が集まっている印象です。中澤:世界経済の年内の見通しについて投資家の見解は李さんの見解と一致していましたでしょうか?李:そうですね。関税及び政策の不確実性によって各国貿易や投資活動がマイナスの影響を受けるという点に関しての見解は概ね一致していました。特に投資への影響が懸念で、1980年代の元連銀議長バーナンキ氏の論文にもあるように、不確実性は投資行動を遅延させるわけです。ただし、その不確実性がどれだけ投資行動にマイナスの影響を与えるのかという程度、感応度に関しては、温度感が違う印象もありました。中澤:なるほどですね。短期的、長期的に米国の関税は日本を含むグローバル経済にどれほど影響をするでしょうか?李:そうですね、グローバル経済といえば貿易や投資を通じて世界経済にマイナスの影響を与えることはもちろん重要なのですが、やはり重要なのは米国経済に与える影響かと思います。関税は米国の消費者および企業にとって税負担となるわけで、例えば2018年には物価への影響も多少はありましたが、それよりも企業の生産活動や雇用活動に大きなマイナスの影響を与えました。問題は今回の関税率がそれよりも高いため、物価や経済に与える影響がより大きいと考えられます。特に連銀は一旦は関税による物価上昇があるため2025年中は利下げが難しく、逆に利下げが可能となる2026年にはかなり大幅な利下げが必要になるとわれわれは考えています。李:日本の株式市場は米国の関税措置に対してどのように反応しているでしょうか?中澤が答えます:4月2日に米政権が相互関税を発表してから、急速に内需・非製造業へのセクタースキューが進行しました。足もとにかけては、一部の国で関税交渉の進展がみられまして、外需型製造業の買戻しが進んでいます。ただ、弊社アナリストがカバーする約500銘柄の範囲で、関税の影響が比較的大きい銘柄、小さい銘柄で構成したスクリーニングの対TOPIX累積超過リターンをみますと、関税に対して相対的に脆弱な銘柄のパフォーマンスは悪化したままとなっています。今後、関税交渉の進展に応じて、セクタースキュー...
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    8 m
  • 米中貿易問題の緊張緩和後も残る市場リスク
    May 19 2025
    関税をめぐる米国と中国の緊張緩和を市場は好感しましたが、長期的にはどんな結果が生じうるのでしょうか。この点を深く理解するために、弊社のチーフ債券ストラテジスト、ヴィシー・ティルパターが今回の相場上昇を掘り下げます。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。チーフ債券ストラテジストのヴィシー・ティルパター 本日はチーフ債券ストラテジストのヴィシー・ティルパターが、米中で先ごろ合意された相互関税の90日間の一時停止のインパクトと、それが景気と市場にもたらす影響についてお話します。このエピソードは5月19日 にニューヨークにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。5月12日の発表に対する市場の反応は非常に好意的でした。いわゆる「解放の日」を受けて4月に急落したS&P500指数は、今回の発表後の4営業日で4.5%上昇し、年初来のリターンもプラスに戻っています。社債市場も上昇しました。投資適格債のスプレッドは10ベーシスポイント超、ハイイールド債のスプレッドは50ベーシスポイント超タイト化しています。米国債市場では2025年の利下げ幅の予想が50ベーシスポイント縮小し、市場が示唆する2026年末までの利下げ幅はおよそ100ベーシスポイントとなっています。こうした市場の動きも重要ですが、本当に重要なのはこうした情報をつなぎ合わせて大局をつかみ、今回の貿易問題の緊張緩和が何を示唆しているかを解明することです。そしてそれ以上に重要なのは、何を示唆していないかを把握することです。まずプラスの面としては、緊張緩和により、貿易の荷動きが急に止まったり失業率が急上昇したりするリスクが低下することが考えられます。これが「休戦」にすぎないことは明らかで、世界の2大経済大国間の関税率が最終的にどのような水準になるのかは正確には分かりませんが、125%や145%に近い水準にとどまる恐れはかなり遠のいたと考えてよさそうです。そのため総じて言えば、米国が景気後退に陥る可能性もこれを受けて低下しています。念のため申し上げますが、2025年の景気後退入りは弊社の基本シナリオでありませんでした。しかし今回の緊張緩和により、経済成長率が若干上振れ、インフレ率が若干下振れ、そして失業率がおおむね現状維持となる方向にリスクがシフトしています。「解放の日」以前は上下どちらにも触れる可能性があり、確率が半々だったとすれば、現在もまだ上下いずれにも振れる可能性はあるものの、景気の縮小ではなく拡大方向に傾いている状況です。弊社はそもそも景気拡大を予想していましたので、今回の緊張緩和を受けて基本シナリオへの自信を深めています。米連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利を年内は据え置くという確信も強くなっています。ただ、スイス・ジュネーブでの米中協議からはポジティブな印象が感じられるものの、90日間の相互関税停止で不確実性が払しょくされるとはとても言い切れないことを強調しておきたいと思います。貿易問題による緊張は高止まりする公算が大きいでしょう。トランプ政権はまだ医薬品、半導体、銅、およびその他の製品への関税を調査中です。米中間の交渉の方法が他の地域、特に欧州との交渉で機能するかどうかも定かではありません。それに、中国やそのほかの国々からの輸入品に米国がかける関税率がおおむね現在の水準に落ち着くことになるとしても、今年の初めに比べればおよそ 約4倍の高水準になるのです。したがって、インフレ率は年末に向けて上昇を続け、第3四半期にピークを迎える公算が大きいでしょう。関税によるインフレ率の上昇幅は小さなものになりそうですが、上昇することには変わりありません。それに、景気後退は引き続き回避されるでしょうが、関税の引き上げは経済成長率を押し下げるでしょう。リスク市場については、米中貿易問題の緊張緩和により、大規模な...
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  • 米中貿易問題の一時停止:次は何が起きるのか?
    May 12 2025
    週末に貿易の緊張が緩和したことを受け、株式市場は大幅に上昇しました。弊社の最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンは、市場の最悪期は去り、株価は底打ちしたと前向きにみています。今回は、その理由を解説します。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソン, 今回は最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンが、株式市場の視点から最近の関税交渉についてどう考えるべきかについて解説をします。このエピソードは5月12日 にニューヨークにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。週末に米中貿易交渉は予想以上に進展し、わずか1ヵ月前に始まった貿易問題に関する緊張緩和で合意しました。投資家から寄せられている主な質問は、この最初の合意を信用すべきかどうか、そしてこれが最終的に持続可能なものかどうかです。私の目から見ると、この質問は株式投資家にとってより重要なポイントを見逃がしています。言うまでもなく、株式市場は未来を材料に取引するものなのです。従って、確認すべきは、6ヵ月後に状況が多少なりとも不透明になっていると思うか、そして状況は改善するか、それとも悪化するか、ということです。もう1つ考慮しなければならない点は、株式は成長率の二次導関数、つまり変化率に基づいて取引されるということです。この点に関しては、株価と最も相関する傾向にある変数の変化率が底打ちした可能性が高いと考えています。もっと具体的に言えば、企業は先週、今年になって初めて利益の大幅な上方修正を行いました。一部では、関税の発表を控え、第1四半期に需要が前倒しされたために利益が予想を上回ったという企業もありました。また、一部の主要企業はドル安のおかげで予想以上の利益を上げました。重要なことですが、米国の多国籍企業にとって為替相場の恩恵は今後6ヵ月、利益への大きな追い風となりそうです。5ヵ月ほど前に懸念していた成長のネガティブ要因の多くが今やなくなりました。ネガティブなセンチメントやポジショニングは「解放の日」がピークでした。株式市場は悪いニュースで底打ちするという格言があります。先月の「解放の日」が最も良い例でしょう。同様に、市場は良いニュースで天井を打つことが多いですが、週末の中国との貿易交渉が予想以上に良い結果だったことが、相場一服につながった可能性が十分あります。従って、このような相場が見られた際には上値追いではなく押し目買いをすべきでしょう。市場は成長にポジティブな政策変更の可能性はまだ消えていないと考え、減税の延長、規制緩和、債務上限問題および来年度歳出予算の決着などに期待するでしょう。最後に、関税率のさらなる引き上げの懸念が和らいだいま、FRBが恐らく先日明らかにした見通しよりも早い時期に利下げする可能性も再び浮上してきました。関税が今後1年間インフレにどの程度影響を及ぼすかは正確には分かりませんが、影響は前倒しとなりそうです。実際、関税が需要に打撃を与え、最終的にディスインフレをもたらすことも考えられます。FRBは秋口にかけてこの結果を判断するとみられ、少なくとも利下げを示唆し始める可能性があります。そうした動きはクオリティの低い循環株へのより持続可能なローテーションにつながり、多くの投資家が6ヵ月前に予想しつつもフライングしてしまったような形でアニマルスピリッツが広がるでしょう。結論としては、厳しい上期と好調な下期というわれわれが当初示した今年の見通しに確信が強まりました。この見通しは、AI関連設備投資の伸びが今年は減速を免れず、政策変更も当初は成長率にネガティブとなる可能性が高いとの見解に基づくものでした。この先は、成長にポジティブな...
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