209 中勘助 銀の匙 137(後編10③) @ LeoN Radio 我らの文学 Podcast Por  arte de portada

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ラジオ収録20250604

「レオンラジオ日の出」テーマ曲 作詞作曲 楠元純一郎 OP「水魚の交わり」、ED 「遺伝子の舟」司会 楠元純一郎(法学者) 中国語翻訳・朗読 レオー(中国語講師・中国大慶の小学校美術教諭)朗読 松尾欣治(哲学者・大学外部総合評価者)読解者 福留邦浩(国際関係学博士)

このわづかに十一か十二の子供のたかの知れた見聞、自分ひとりの経験に照してみてもそんなことはとてもそのまま納得ができない。私は 修身書は人を瞞著まんちやくするものだ と思つた。それゆゑ行儀が悪いと操行点をひかれるといふ恐しいその時間に頬杖をついたり、わき見をしたり、欠伸をしたり、鼻唄をうたつたり、出来るだけ行儀を悪くして抑へ難い反感をもらした。

<たかの知れた→たかが知れた→たいしたことない。見聞(けんぶん)。瞞着(まんちゃく)→本当のことを隠して欺いたり、誤魔化したりすること。操行(そうこう)→道徳的な面から見た普段の行為、素行、品行。頬杖(ほほづえ)をつく→考え事をしたり、物思いに耽ったりするときに無意識に頬や顎に手を当て、頭部を支える仕草。欠伸(あくび)→眠たいときなどに口を大きく開けて空気をいっぱい吸い込む動作。>

就连我这个不过十一二岁的孩子,也能根据自己仅有的经验见识,推测出老师讲的事情不能尽信。那时的我觉得,品德课的教材是骗人的。因此,这堂课招来我难以抑制的反感。明知道在品德课上不守纪律会扣纪律分,我还是在这段可怕的时间里故意用手托腮、东看西瞧、伸懒腰、哼小曲,尽力做出不文明的举动。

私は学校へあがつてから「孝行」といふ言葉をきかされたことは百万遍にもなつたらう。さりながら彼らの孝道は畢竟かくのごとくに生せいを享うけ、かくのごとくに生をつづけてることをもつて無上の幸福とする感謝のうへにおかれてゐる。そんなものが私のやうに既にはやく生苦の味をおぼえはじめた子供にとつてなんの権威があらうか。私はどうかしてよく訳がききたいと思ひある時みんなが悪性の腫物はれもののやうに触れることを憚つて頭から鵜呑みにしてる孝行についてこんな質問をした。

<孝行→親に尽くし、大切にすること。畢竟(ひっきょう)→詰まるとこと、結局。生苦の味(しょうくのあじ)→苦(にが)い味覚→苦しい経験。憚(はばか)って→遠慮や慎重な姿勢を表すこと。鵜呑(うの)みにする→他人の言葉や情報を自分で考えずにそのまま信じてしまう行為。>

自上学起,“孝顺”一词我已听过不下百万遍。但他们所谓的“孝顺”,始终

建立在享受生命、感恩活着就无比幸福的基础上。而对我这样一个早就开始品尝人

生之苦的孩子来说,“孝顺”还能有什么特权呢?我无论如何也想问个清楚明白,

于是向老师发起提问,问题的主旨像恶性肿瘤一样谁也不敢碰,只管让我全盘接

受“孝顺”。

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